仮説思考とは穴埋め問題思考のことだと理解した

数年前に話題になっていた 仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法 という本を今更ながらに読みました.この本では問題解決の方法として仮説思考を推奨しています.仮説思考とは,情報が少ない段階から全体像と結論を考える思考スタイルだと書かれていて難しかったのですが,よくよく考えてみると,言っていることは「穴埋め問題思考」だと理解できました.

穴埋め問題思考

「穴埋め問題思考」とは,どういう思考スタイルなのでしょう.ここでは,

財政を圧迫する国民医療費を圧縮するには,どうすればよいのか

という問題例を使って考えることにします.

この問題を解決するためには,まず,国民医療費の支出構造を分析して,...とまず分析から入るのが普通の方法なのですが,穴埋め問題思考ではこうします.

答:
たばこ税を増税すれば喫煙人口が減り,肺ガンや心臓病,脳卒中患者が減るので(= 全体像),
たばこ税を増税して一箱○○円にすれば,税収が△△円減るものの医療費を××円削減できる,結果として財政収支をを□□円改善できる.(= 結論)

と,このような穴埋め問題をつくります.あとは,正解を見つけるために調査するだけです.たばこの価格と税収・医療費との関係をグラフにして収支を一番改善できる価格を求めるだけです.

ここで重要なのは,

  1. 穴埋め問題思考で最初につくる仮説は間違っていてもいい
  2. 穴埋め問題思考で最初につくる仮説は最善のものでなくてもいい
  3. ただし,他に有力な対立仮説がないか検討してみる

ということです.記述式の問題は苦手でも穴埋め問題は得意という人は多いでしょうから,この方法,やってみる価値はあると思います.

しかし,穴埋め問題思考で一番難しいのが「問題をつくる」ところです.はじめに紹介した 仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法 では,コンサルタントがこの方法で問題解決をしていて,新米コンサルタントは社内のテンプレートを使ったり経験豊富な先輩コンサルタントに指導してもらいながら「問題をつくる」スキルを身につけていくそうです.一般人にはテンプレートはありませんが,先輩コンサルタントの指導の代わりに周りの人との議論は可能です.毎日が問題解決の訓練の場であるコンサルティング会社の環境はうらやましいですが,私も周りの人に協力してもらって問題解決のスキルを伸ばしていきたいと思います.